多数決で集団決定をする際の留意点をお伝えします。

学校生活は集団生活を営む場所です。みんなで生活していくということは、何かを決める時に集団の意志決定を行います。その際に、よく用いられる方法が「多数決」です。わたしはこれまでに、多数決によって決めたことが必ず正しいと思っている子どもたちの姿を目にしてきたことが幾度となくあります。

 

しかし、本当に多数決で決めたことが正しいのでしょうか。

この記事では、多数決で集団決定をする時の留意点をお伝えします。

 

多数決は本当に正解なのか?

 

特別活動における学級会での意思決定でも多数決を行うことがあります。杉田(2013)は、特別活動で育てたい自治的能力として、「多様な他者と折り合いをつけて集団決定することができる力」と「集団決定したことをそれぞれが役割を果たしながら、協力して実現することのできる力」の二つを挙げています。

 

つまり、多様な価値観や考え方がある中で、集団決定をしていく際には自他の違いを認め合ったり、合意形成を図ったりして共に生きていく人間関係の構築の重要性を強調しています。

 

自分の意志決定だけでなく、集団での意思決定の際に多数決はよく使われる方法です。みんなで決めたことをみんなで守ることは、大切な観点ですが、多数決で決定したことが必ずしも真理であるとは限りません。

 

教師は自身の人生経験からこのことを体験的に理解していると思います。例えば、AとBの飲食店があったとします。同僚と多数決でAの飲食店に行くことが集団決定されました。しかしながら、Aの店のサービスに絶対満足するとは言い切れません。もしかしたら、Bの飲食店の方がサービスが遥かに上回っている可能性があります。つまり、多数決で集団行動の決定をしたとしても、その行動が必ずしもよりよい成果につながるとは言い切れないのです。

 

子どもたちに多数決で集団行動を決定したことを踏まえて、行動していくことは大切なことです。この合意がなければ、集団行動の意思決定を行う意味が薄れてしまいます。しかしながら、「多数決=正解」と短絡的に決めつけることは偏った考え方になる可能性があることを教えることも必要です。

 

少数派の意見にも耳を傾ける

 

学校生活では、クラスで決めることやグループで決めることなど集団決定していく場面があります。自他の違いを認め合い、多様性を尊重していくための資質・能力を育成していくためには、少数派の意見に耳を傾けることが大切です。

 

多数決での集団決定には、満場一致の場合を除けば自分の意見が反映されないということになります。しかしながら、先程述べたように、多数派の意見が必ずしも正しいとは限りません。もしかしたら、少数派の意見の方が適切であることも十分に考えられるのです。

 

民主主義においては、多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する視点も重要です。

 

このことを留意しないと、子どもたちは多数決を真理だと思い込み、短絡的な考え方に陥ってしまいます。すなわち、同質性の強要と自律性の喪失につながってしまいます。自他を認めて多様性を尊重していくためには、少数派の意見にもリスペクトすることだ大切なのです。

 

なお、少数派の意見の重要性を道徳授業として実践していくためには、ランキング型の授業実践をおすすめします。詳細については、「自他を認めるための授業実践「震災と人権」の具体例を紹介します」をご覧ください。

 

参考文献:杉田洋『よりよい人間関係を築く特別活動』,図書文化社, 2013.

 

 

 

 

 

 

 

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