学級経営を円滑に進めていくためには、「きまりごと」が必要です。学級は集団生活の場であることから、社会生活を営んでいるといえます。つまり、習慣や行動様式を身に付けることで他者と共に社会生活を円滑に営むことが可能になります。
この記事では、学級経営における「きまりごと」の具体例について紹介します。
きまりごとは、なぜ必要なのか?
学級経営の三領域の一つとして、「計画的領域」(白松:2017)があります。この「計画的領域」は、授業や教室における秩序化を目指すために重要な役割を果たすための条件整備を指導するための領域と説明されています。
つまり、集団生活における約束やきまりごととは、子どもたちと教師が共に学校生活を営むための指針の役割を担っており、集団生活の秩序を保つために必要なことなのです。
例えば、学校の始業時刻に子どもが教室には訪れず、欠席の連絡が学校にないとしたら、朝の健康観察を円滑に行うことができません。このような状況になったら、子どもが偶発的な事件や事故に巻き込まれた可能性もあるため、わたしだったら自宅の方に電話をして安全の確認をします。
そうすると、他の子どもたちは教室で教師を待つことになります。教師は安全の確認に奔走し、健康観察や朝の会が円滑に進めることができません。そのため、1時間目の開始時刻が遅れてしまう恐れがあります。つまり、きまりごとを守らないと、集団生活において不利益を被る人がでてしまうのです。この場合だと、クラスメイトの学びの時間を削ることにつながってしまうのです。
人間ですから、時には寝過ごしてしまい遅刻をしてしまうこともあるかもしれません。そうした状況を受け止めることも大切な観点です。しかし、きまりごとを守らないことが日常化されてしまうと教室の秩序が崩れてしまいます。
つまり、学校生活における計画的領域の指導は、教室の秩序を保つと共に、きまりごとを守ることによって、子どもたちが教室で快適に学ぶために必要な指導だといえます。

きまりごとの内容
きまりごとについては、学校や先生方によって決められていることが異なっています。ここでは、わたしの現職教員としての経験を含めて、その一例を紹介します。
①学校生活に関するきまりごと
・登校や下校に関すること
・欠席や遅刻に関すること
・休み時間に関すること
・給食に関すること
・持ち物に関すること
・教室移動に関すること
・雨の日の過ごし方に関すること
・服装や身だしなみに関すること
・施設の使用に関すること
・緊急時の避難に関すること 等
②学級生活に関するきまりごと
・出席確認・欠席確認に関すること
・朝の会や帰りの会に関すること
・係活動に関すること
・当番活動に関すること
・給食に関すること
・教室環境に関すること 等
③学習に関するきまりごと
・授業開始と終了の挨拶に関すること
・話し合いにおける態度や姿勢に関すること
・授業中の行動や発言に関する
・座席に関すること 等
きまりごとの指導のポイント
①きまりごとを明示する
先程、お示したように学校生活を営むためには、様々なきまりごとがあります。そのため、どのような行動が望ましいのかを集団で確認する必要があります。
そこで、望ましい行動を学級全体で共有するためにも、きまりごとを明示することが重要になります。具体的な行動を共有することで、子どもたちの望ましい行動を称賛したり、承認することにつながります。
具体的な指導方法については、「学級経営方針・学級目標の設定方法について紹介します。」や「問題行動を減らして望ましい行動を伸ばしていくための指導方法について紹介します。」をご覧ください。
その際に留意することは、望ましい行動をすることが目的ではないということです。大切なことは、子どもたちの資質・能力を育成し、子どもたちが自分自身で人生を切り拓いていくことを支援していくことです。
きまりごとを守るための学級経営ではなく、きまりごとが守られることによって、秩序がある集団生活の場で学びを加速させていくことが目的なのです。学級経営における「きまりごと」は、目的ではなく、学びを支援していく土台作りであることを忘れてはいけません。
②きまりごとが必要である意味を説明する
学校には様々なきまりごとがあります。学校や教師がきまりごとを設定するということは、秩序化や学びのために必要であるからです。きまりごとが必要な意義を子どもたちにも伝えていくことが指導のポイントです。
その一例は、冒頭の遅刻者への対応で説明しました。

わたしの場合は、きまりごとがあることの意義を説明する際に、「自他を認める大切さ」として人権を根拠にしながらやわらかく説明するようにしていました。そして、当然、教師もそのきまりごとを守り、子どもたちの人権を尊重していくことが大切なのです。
③みんなの居心地が快適になっていることを価値づける
きまりごとがあったとしても、それを実行するかどうかは子どもたしに委ねられています。そのため、きまりごとをクラスづくりとして定着させていくためには教師が価値づけることもポイントになります。
きまりごとがあっても、それを守っていない際に指導しないことは、秩序の崩壊を招く危険性があります。つまり、きまりごとを守らなくても別にいいというように子どもたちが受け取ってしまいかねません。

人間ですから、きまりごとを守れない状況があるかもしれません。その状況を想像して、その状況に相応しい声掛けを行うことが教師には求められます。一方で、きまりごとの意味や意義について説明し、子どもたちの行動を確認していくことも教師にとって重要な仕事の一つであることを忘れてはいけません。
望ましい行動を増やすための指導の具体的な方法については、「問題行動を減らして望ましい行動を伸ばしていくための指導方法について紹介します。」をご覧ください。