自他を認める学級経営に向けた教室環境づくりのポイントを紹介します。

教室は子どもと教師が学校生活の基盤を支える場所です。各教室によって掲示物は異なり、学級経営への取り組む姿勢や子どもや教師の個性が反映されています。

 

児童生徒が多くの時間を過ごす教室環境は、学級経営を進めていく上でも大切なポイントです。

 

本記事では、自他を認める学級経営に向けた教室環境づくりのポイントを紹介します。

 

人間関係を深め、安心して生活・学習ができる場づくり

① 学級経営方針・学級目標を掲示する(必然的領域)

学級経営方針は、学級経営の三領域(白松:2017)である「必然的領域」を守るために教師が掲げる子どもとの約束である。そのため、教室の前方で毎日確認することができる場所に掲示をします。

 

また、学級目標は子どもたちが自主的に設定したものであり、子どもたちが自律する行動を促すために重要な役割を果たすため、目立つ位置に掲示しましょう。

 

まずは、この二つを目立つとことに掲示するようにしましょう。このことは、「学級集団づくりの目標」を核とした学級経営に欠かせない環境です。

 

「学級集団づくりの目標」の設定方法については、「学級経営方針・学級目標の設定方法について紹介します」をご覧ください。

 

② 学校や学習のきまりごとを掲示する(計画的領域)

自他を認める学級経営を実践していくためには、教室の秩序をつくることや学習を支援するための掲示も大切です。

 

例えば、授業の開始時刻に関する学校生活のきまりごとや、授業中のきまりごと、コミュニケーションを円滑にするための「気持ちを表す言葉」や「聞き方・話し方スキル」、給食の献立表、清掃場所の確認票などが挙げられます。

 

教師が不在になっても、子どもたちが自分達で学校生活を送るために必要なことを掲示しておく視点をもつことが大切です。

 

③ 子どもたちの相互理解や交流のきっかけになるものを掲示する(偶発的領域)

 

子どもたちひとり一人の自己紹介や、係活動に関するポスターを掲示することで、子どもたち相互理解や交流のきっかけにつながります。

 

ひとり一人の長所が分かるようにしていくことで、子どもたちの相互理解を支援することが可能になるので、子どもたちが中心になる掲示スペースがあることも大切な視点です。

 

課題意識を高める場づくり

子どもたちに問題意識を喚起するような情報を意図的に掲示することも一つの手法です。例えば、人権習慣に合わせて人権啓発に関する作文や標語づくり・ポスターづくり等が挙げられます。

 

また、学習内容を深めていくために、教科内容に即した掲示をすることも一つの手法です。

 

わたしは、東京都教育研究員として社会科を研究していたときは、学習問題を掲示していました。

 

他にも、子ども用の新聞紙を閲覧できるコーナーを設置していました。なお、この取り組みは、第16回東京新聞教育賞の受賞につながりました。

 

詳細は、「新聞学習を通して、小さな社会人を育む―子どもたちが向き合った183の新聞記事― 」をご覧ください。

 

発見の喜びを味わえる場づくり

子どもたちが昆虫や植物の飼育や栽培活動を通じて、生き物の成長の過程に触れたり、発見したりすることも一つの手法です。その際には、生命尊重を主題とした道徳科の授業実践と関連させることにもつながります。

 

昆虫や植物だけでなく、子どもたちが日常生活での喜びや感動、疑問などを感じたことを級友に知らせるコーナーを設置することも考えられます。

 

創造する喜びを味わえる場づくり

子どもたちが共同作業をすることができる大き目の机や、筆記用具や文具を常備して、自発的・創造的な協働作業を実践できる環境づくりも大切な視点です。
たくさん掲示したり、環境を整えたいけれども、教室には掲示物のスペースが限られています。そのため、教師が何を優先して指導しているのかが教室には反映されていきます。何を優先するのかを自問自答することがポイントです。

人権尊重の雰囲気を大切にする環境を整備する

自他を認める学級経営を実践していく環境づくりのためには、人権感覚を大切にした掲示物の整備が大切です。

 

① 配慮に欠ける作品を掲示しない

子どもたちの作品は一人一人の思いが込められています。しかしながら、その中に他者の心を傷つけたり、人権侵害に当たるような表現があってはなりません。
そのような作品を掲示するということは、教師がそのことを容認しているというように受け止められる可能性が生じます。
ひとり一人の表現を尊重することはもちろん大切ですが、その表現によって他者の人権を脅かすものであってはならないのです。
また、子どもの作品に誤字脱字があった場合は、子どもと一緒に修正をしてから掲示することが大切です。
教師は子どもたちの作品を掲示する前には、多数の人が目にするものであるという観点から最終点検を行いましょう。

② プライバシーに関わる掲示物

教室に忘れ物を示す一覧表や、課題の提出状況をまとめた資料、子どもたちの身体の情報を示す資料を掲示することは、子どもたちのプライバシーに関わる重大な問題です。このような情報は掲示してはなりません。
教師自身が子どもの気持ちや痛みを想像してから、掲示物を掲示するかを整備していくことが大切です。
すなわち、教師の人権感覚は教室環境づくりに反映されます。人権感覚を大切にした環境づくりが自他を認める環境づくりには欠かせません。

まとめ

本記事では、自他を認める学級経営に向けた教室環境づくりのポイントを紹介してきました。以下がまとめになります。
学級経営の三領域に対応した環境づくりを行う
人権感覚を大切にして教室環境を整備する
教師が大切にしたい指導観を明確にしてから環境づくりに励む
自他を認める環境づくりは、教師の指導観や子どもたちへのまなざしが反映されている空間だと思います。
参考文献
文部科学省:人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]-実践編-, 2008.
東京都教育委員会:人権教育プログラム(学校教育編)、2021.

 

 

 

 

 

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