保護者への対応や関係づくりに大切にするべきことを紹介します。

「教職員は理屈、保護者は思い」このようなキーワードが、教職員と保護者の関係性を理解する上で欠かすことができません。

 

教師も保護者も子どもたちの成長を願っていることは共通しているので、保護者と連携していくことは、教育活動に大きなプラスをもたらしてくれます。一方で、保護者からの不信感があると教育活動が円滑に進みにくくなります。

 

この記事では、保護者への対応をする際に大切にするべきことを紹介します。

 

保護者からは、どう見えているのかを想像してみる

学校という組織としての体制や教育活動としての一貫性を保持することが使命であり、生徒だけでなく保護者や地域住民が学校に対して教職員は『理屈で分かってもらおう』という気持ちが先立つことがあります。

 

多くの場合、保護者や地域住民が学校に対して物言う背景には、『親としてわが子を思う気持ち』や『誰かに聞いてもらいたい思い』があります。

 

教師は年間を見通して教育活動を実践すると共に、子どもたちの実態を考慮しながら柔軟に教育活動を展開していることから、教師の意図と保護者の思いがすれ違う可能性が生じます。そのため、いくら理屈を説明しても納得してもらうことは難しいことがあります。

 

先ずは、保護者が連絡帳に書いたり、相談したりすることにはその背景に家庭的な事情や背景があることを想像しましょう。すなわち、教師の人権感覚が保護者対応にとっても重要になります。

 

人権感覚については、「1%の「もしかしたら」を想像する人権感覚と声かけが、居心地がよい学級経営には欠かせません」をご覧ください。

 

初期対応と二次対応について
保護者対応には大きく「初期対応」と「二次対応」に大別することができます。
どちらも大切ですが「初期対応」をあやまると、「二次対応」が円滑にするのが難しくなります。そのため、「初期対応」を丁寧に実施することが特に大切です。
初期対応で大切なことは、保護者の「主訴」(相手が最も訴えたいこと)を的確に把握することです。そのため、事実関係の把握を丁寧に行う必要があります。
そして、忘れてならないのは、保護者の方が相談に来ている時点で、悩んだ末に学校に相談しているということを忘れないようにしましょう。つまり、困ったことがあるので、面談で相談をしているため、感情的になることもあり得るという意識をもった上で取り組むことが大切です。

傾聴による事実確認(初期対応)

傾聴をしていくには大きく3つのポイントがあります。

①「相手の言葉」をさえぎらないで聞くことに徹する

「そうはおっしゃいますが」などのように、話をさえぎって教師の話を論理的に説明するとすれ違いの原因になります。まずは、相手の「主訴」を把握することに徹しましょう。

②「相づち」や「繰り返し」を大切にする

「なるほど」、「そうですか」、「そういう気持ちになりますよね」など、相手の立場を想像していることをしっかり伝えるようにしましょう。
悩んだ末に学校に相談しているで、先ずは気持ちを受け止めましょう。

③ 「事実」と「推測」の整理を行う

客観的な事実と思い込みは違います。このことが一緒になってしまうと、事実の把握が困難になるので、
このことは、どのようにして知ったのでしょうか?
と整理をしながら、聞き取った内容を区別しながら、メモをとることが大切です。

組織的な対応(二次対応)

初期対応で保護者から事実確認をしたら、管理職の先生に必ず報告や相談をしましょう。
学校は組織で教育活動を実施していますから、主訴の内容によっては、学校全体対応をしていく必要があります。
わたし自身も管理職の先生や養護教諭の先生などの協力によって、保護者の主訴に対して二次対応を進めてきました。担任一人の力だけでは限界があります。他の先生に報告したり相談したりすることは、保護者や子ども、周りの先生方や自分自身にとっても大切なことを忘れないでください。
保護者の主訴や状況を報告することにより、二次対応として以下のような行動に結びつきます。

① 組織構成と役割分担

② 教職員の一致した対応

③ 徹底した事実確認・情報収集

管理職の先生や養護教諭は、様々な経験を積んでいると思われます。大切なことは自分だけで解決をしようとするのではなく、学校全体が保護者対応のリソース(資源)であることを意識することです。
大切なことは、自分のプライドよりも子どものために学校全体で協力していくことなのです。

保護者の方々との関係づくり

わたしは保護者の方々からもお手紙をいただいたことがあります。保護者の方と良好な関係を築けることは教職の魅力の一つだと感じています。詳細は、教職の魅力についてお伝えしますをご覧ください。

 

以下に、わたしが保護者の方との関係づくりで意識してきた3つのポイントを紹介します。

 

① 子どもたちの居心地がよい教室を学級経営でつくりあげる

 

保護者の方から信頼を得るためには、日頃の生活指導や授業実践をしっかり行い、子どもたちの居心地を大切にした学級経営を実践することが基本です。

 

子どもたちは、学校であった出来事や担任の先生のお話を保護者の方に伝えています。日頃の学級経営は保護者との関係づくりにもプラスの効果をもたらします。

 

② 保護者会で子どもたちの様子をスライドショーで伝える

コロナ禍では難しいですが、通常保護者会は学期ごとに実施されます。わたしは、学期末の保護者会では、子どもたちの様子を撮影した写真をつなぎわせたスライドショーを作成し、積極的に公開していました。

 

このことは、日頃の子どもたちの様子を視覚的に伝えると共に、教師が子どもたちのことを大切に思っていることを積極的に伝えられることにメリットがあります。

 

実際に保護者の方からも、「いつも楽しみにしています」と感謝の気持ちを伝えていただいたことがあります。

 

留意点は、保護者会で公開する以上、学級の子どもたち全員が映る必要があるということと、個人情報の保護と肖像権にに十分に配慮するということです。準備は大変でしたが、続けて良かったと感じています。

 

③ 偶発的な出来事には真摯に向き合う

 

学級では偶発的な出来事が起こります。この偶発的な出来事によって、保護者の方が困っているときには、全て深刻な問題だと受け止めて対応してきました。

 

全ての主訴を完璧に解決することは難しいかもしれません。しかし、主訴に対して真摯に取り組むことはできます。

 

そのためには、教師のエネルギーが必要です。そのために、わたしは定時に退勤することを心がけて職務にあたってきました。詳細は、「教師が定時に退勤するメリットを紹介します」をご覧ください。

 

繰り返しになりますが、教師も保護者も子どもたちの成長を願っていることは共通しています。このことを意識できていないと保護者の方に不信感を抱かせてしまう要因になります。子どものために真摯に向き合う姿勢が保護者との関係づくりの基礎だといえるでしょう。

 

まとめ

「教職員は理屈、保護者は思い」このようなキーワードが、教職員と保護者の関係性を理解する上で欠かすことができません。そして、教師が保護者との関係づくりを良好にすることは子どもたちの成長にとってもプラスの作用をもたらします。以下の5点が大切です。
保護者からどう見えているのかを想像する
保護者の主訴を的確に把握する
「初期対応」を大切にする
「二次対応」は組織的に行う
保護者の方々との関係づくりを大切にすることを意識し、実行していく
保護者の方々と良好な関係は、みんなの居心地がよい学級づくりに向けての重要な要素なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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