小学校の給食指導で先生が大切にするべきポイントを紹介します。

給食の時間は子どもたちにとって嬉しい時間です。しかし、学級が落ち着かない要因を生み出すきっかけになるのも給食の時間です。

 

この記事では、小学校の安心で公平な給食指導でのポイントを紹介します。

 

 

給食の時間は子どもの安全を第一に考える

 

これまでに、学校給食の時間では、誤食事故が起きた過去があります。

 

先ずは、給食は子どもの生命に関わるかもしれないという危機意識をもちましょう

 

クラスには、食物アレルギーを抱えていたり、喉に食べ物を詰まらせやすい体質の子どもたちが在籍する場合があります。

 

一人ひとりに合わせた給食指導が必要です。

 

落ち着いた雰囲気で給食を安全に喫食することが、最も重要なことであることを忘れないでください。

 

給食を残さず完食することを目的にしない

 

食べ物を残さないことは大切なことです。社会全体でもフードロスの機運は高まっています。しかし、クラスには食物アレルギーや、少食であることについて悩みをかかえている子どもが在籍しています。何よりも優先すべきことは、安全を守ることです。

 

なお、学校給食では栄養面が緻密に考えられており、様々な料理を提供してもらえます。しかし、メニューによっては、どうしても苦手で食べられない食材などが配膳される場合もあります。

 

おなかがいっぱいだったり、気持ちがわるくなったりしたときは、無理して食べる必要はないことを子どもたちに伝えましょう。

 

無理はしないでくださいね。残しても大丈夫ですよ。

 

完食を目指すことが目標となると子どもたちに無言のプレッシャーを与えてしまいます。

 

給食の時間が憂鬱で、学校に行けなくなってしまったら本末転倒です。子どもたちは、学ぶために学校に通学しています。

 

給食を完食するために通学しているわけではありません。

 

この心構えをもつことで、教師の給食指導は劇的に変化します。一人一人を大切にするための給食指導を目指してほしいと思います。

 

おかわりの機会は平等にする

ある日、他の先生が出張だったので、他のクラスの給食指導を担当しました。

 

給食を食べ終わると、おかわりをする子どもたちが走って残っていた美味しそうなプリンをとっていきました。

 

このクラスでは、おかわりは全部食べた人が早いもの勝ちで食べられるそうです。

 

このような、おかわりのルールは危険です。やめてほしいと思います。

 

早いもの勝ちにしてしまうと。おかわりをするために食べる時間の競争になってしまいます。

 

食べ物を喉に詰まらせてしまう危険性が高まります。そして、ゆっくり食べる子どもに対して、おかわりができない状況が必然的に生まれます。

このような不公平な状況を教師が放置しておくと、学級の秩序が崩れていきます。

 

おかわりは以下のように教師がリーダーシップをとることをおすすめします。

 

① スープやご飯などは、おかわりをしたい子どもたちを全員集めて平等に分ける

スープやご飯は、教師が量を人数分に等分することが可能です。

 

おかわりをしたい人は食べ終わっていなくても、おかわりできるようにしてあげましょう。

 

ただし、おかわりをするのであれば、残さないことを条件にします。

つまり、好きなものだけを食べて嫌いなものを残すようなシステムにはしません。

 

このように指導をしていくと、子どもたちが自分の個性に合わせて給食と向き合うようになります。

 

給食が完食できそうにない時には、おかわりを控えるようになります。

 

おかわりするために早く食べる必要はないので、落ち着いた雰囲気で給食を味わうことができます。そして、よく噛んで食べるようになります。

 

このようにして、子どもたちが自分の個性や体調に合わせて、食べる量を調整できるように指導を工夫しましょう。

 

② プリンや牛乳などはジャンケンで決める

プリンや牛乳など個体のものは、ジャンケンで決めましょう。

 

このジャンケンに参加して負けた人は、スープやごはんのおかわりはできません。

 

つまり、スープやごはんなら確実におかわりができますが、プリンを選んでジャンケンに負けるとおかわりができません。

 

子どもが自分のおかわりしたいものを選べるのは一回だけになります。

 

大切なことは、競争をさせないシステムを構築すると共に、自分の個性や体調を含めて判断していくように促すことです。

 

ただし、1回目のおかわりが一通り終了しても、も食べ物が余った場合は、もう一回おかわりする機会を提供しましょう。

 

まだ給食が余っているので、もう一度おかわりしたい人はいますか?

ここでも、おかわりを選べるのはどれか一つです。

 

子どもたちは同じ料金の給食費を支払っています。給食を早く食べる人が、よりたくさん食べることができるシステムは不公平です。

 

このように教師がおかわりできる機会を平等に確保することで、不公平がなくなります。

 

もちろん、一人前の分量をはじめにしっかりと配膳することが前提の条件です。

 

おかわりの量は、欠席者やその日の献立によって違います。

 

教師がはじめの配膳が適切な分量なのかを、毎日最終チェックするようにしましょう。

 

 

少食の子どもには、給食の量を少なめに配慮する

 

一般的な給食の量だとしても食べきれない子どももいます。

 

そこで、「いただきます」の前に、給食を減らせるように工夫しましょう。

 

配膳の時に「少なめにしてください」と言ってもらって調整したり、「給食を少なめにしたい人はいませんか」と一言声をかけたりしましょう

 

教師が勝手に少なめに配膳するのはやめましょう。大切なことは子どもたちが自分で判断していくことです。

 

今まで、少食の子どもたちを指導してきましたが、残したくて給食を残しているわけではありません。

 

もともとの給食の量が多いなら、残さない状況を整えてあげることが大切です。

 

細やかな給食指導が子どもたちとの信頼関係を築く上で重要です。

 

子どもとの信頼関係の築き方については「教師が子どもたちと信頼関係を築くための方法について紹介します」をご覧ください。

 

 

給食の配膳や片付け方の見本を示す

給食の配膳や片付け方は、見本を掲示しておきましょう。

 

教師がいなくても自律して配膳や片付けができるのが理想です。

 

しかし、給食時は何が起きるか分かりません。必ず教師(担任以外でも大丈夫)が教室にいる状況を確保しましょう。

 

 

給食は安全面や不公平がないような配慮をしていく必要があります。給食指導を整えることは、多様性を尊重し、子どもが安心して学校に通学するために欠かせない教育活動です。

 

なお、学級経営をサポートするために席替えの指導や授業実践に関する記事等を「学級経営で大切なこと<河野辺研究室>」に掲載しています。また、健康を留意していく観点から「週末に心を整えるための方法を紹介します」も掲載しているので、お時間があったらご覧ください。

 

2023年8月30日に本を出版することになったことを報告させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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